+GAINERでもご一緒させていただいたクスール松村慎さんの新しい本、「ネットでものを生み出すということ」が出版されました。この本の中では、第3章の「玩具を作る」という章でIAMAS Gangu Projectで開発してきたプロトタイピングメソッドを、かなり詳しく、かつわかりやすく紹介していただいています。最近のワークショップではトピックの一つとしてこうしたメソッドを紹介することが多いのですが、こうして読み物としてまとまるというのはとても感慨深いものがあります。
その他のトピックも興味深いものばかりで、(偶然ですが)ほぼ同時に発売されたMake日本語版Volume 06でもインタビュー記事が掲載された電子楽器ウダーについて、さらに詳しいところまで突っ込んで知ることができます。また、d.v.dやワン・トゥー・テン・デザインなど、ウェブデザインに密接に結びついたところから一見関係なさそうに見えるところまで、かなり幅広い内容になっています(目次はこちら)。これだけ幅広いとかなり散漫な感じになってしまいがちなところですが、章ごとに本人達がそれぞれの視点で書いたものの寄せ集めではなく、最終的に松村さんの視点でまとめられているため、とてもうまくまとまっています。
取材に協力させていただいた関係でGanguの章については既に読んでいたのですが、全体を通して読んだ上で自分として一番印象的だったのは松村さんの以下の言葉です。
もちろん、情報収集と情報発信は、特にネットで仕事をする上でとても重要なのですが、その反面、この2つの繰返しは、得た情報を瞬時に人に伝えているだけ。よく考えてみると、単にコピー&ペーストをしているだけではないかと思ってしまうことがあります。情報を左から右に流しているだけで、自分の考えや思っていることは介入しない。その情報を知っている、それも概要を知っているだけで、すべてを理解していると思ってしまう。
確かに、Tumblrをはじめとするツールはとても便利ですし、気になったものに対してちょこっとコメントをつけると簡単にわかった気になれます。しかし、誰かがそれなりの時間をかけて作り上げたものを理解する、というのは実はそんな簡単なものではなく、時間をかけてゆっくりと読み取っていったときに初めてわかってくることがたくさんあります。
この本のインタビューは、どれもそれなりの時間を費やして書かれたものだけに、しっかりと内容を理解しようとするとかなりの時間がかかるものばかりだと思います。目先の「流行ネタ」「技術ネタ」ではなく、今後何かを作っていく上での「ヒント」を探している方にお薦めできる本ではないかと思います。

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