早川書房 (2006/06)
IDEOといえば、かつてはプロダクトデザインの分野で高い評価を受け、最近では、顧客経験(experience)やコンサルティングまで、幅広い分野で活躍しています。この本では、IDEOが手がけてきたさまざまなプロジェクトの経験を元に、どのような人材がいればイノベーションが実現できるのかをわかりやすく紹介しています。
10の人材は、それぞれわかりやすい名前がつけられていて、次のようになっています。
- 人類学者(the anthropologist)
- 実験者(the experimenter)
- 花粉の運び手(the cross-pollinator)
- ハードル選手(the hurdler)
- コラボレーター(the collaborator)
- 監督(the director)
- 経験デザイナー(the experience architect)
- 舞台装置家(the set designer)
- 介護人(the caregiver)
- 語り部(the storyteller)
人類学者と実験者と花粉の運び手は情報収集をするキャラクター、ハードル選手とコラボレーターと監督は土台を作るキャラクター、経験デザイナーと舞台装置家と介護人と語り部は実現するキャラクターと位置づけられています。
控えめに見ても、IDEOに集まっている人材はかなり優秀で、穿った見方をするとこの本自体が単にIDEOの会社自慢をしているように見えてしまうかもしれません。しかし、これらの役割は、誰か一人だけに固定されたものではなく、誰もが演じることのできるもので、自分が担当する役割を適切に演じることでイノベーションを実現することができる、ということがプロローグで強調されています。
どのような役割が必要で、自分がどの役割が必要かをきちんと理解していれば、IDEOのようなイノベーションが実現できる、というのは魅力的な提案だと思います。また、予算が限られている場合にも、さまざまな方法で切り抜けてきた(あるいはそれを逆に利用してきた)実例が紹介されていて、「○○だから自分たちにはできないなぁ」と思わせないような構成になっているのはさすがです。
イノベーションの重要性や、ラピッド・プロトタイピングの手法などを紹介した、著者の前著である、「発想する会社!」とあわせて読んでみると、より理解が深まるのではないでしょうか。さまざまな分野でのものづくりを考えている人におすすめです。
早川書房 (2002/07/25)
売り上げランキング: 5,709


コメント