
何かと話題の「CASSHERN」を観に行ってきました。率直に言って、私には非常につまらない作品でした。最初に感想を書いた時に勢い余って「駄作」と書いてしまいましたが、それは不適切な表現で、「失敗作」と表現するべきだったと思っています。レイトショーでみましたので、私が支払ったお金は1200円(と駐車場代)だけでしたが、それでも損した気分です。以下は評論ではなくて私個人の率直な感想です。
まず、私自身は原作であるテレビアニメーション版の「新造人間キャシャーン」に強い影響を受け、今でも好きな作品の一つなんですが、それはこの際すっかり忘れることにします(オリジナルのリメイクという意味では数年前にリリースされた梅津版の「キャシャーン」をかなり気に入っていますので)。
この作品の最大の欠点は、ストーリー(=脚本)でしょう。劇中で、それぞれの登場人物の直接的な台詞として作品のテーマは語られるのですが、言葉だけで表現できてしまうのであれば映像は必要ないわけで、説明的な台詞を多用するというのは自ら敗北を認めている様なものだと思います。役者には、それぞれ実力派を配しているため、それなりの説得力がある様に一瞬思ってしまいますが、かなりぎりぎりの線だったと思います。
台詞として直接的に表現されることで、確かにそれぞれの人物の考えていることはよくわかる様にはなっているのですが、それまでに十分な伏線が張られていないために、いくら役者が熱演したところで、共感を呼ぶ様なものになっていません。
それでは、この映画の(恐らく)最大の売りである映像面ではどうでしょうか。
既にプロモーションビデオなどで定評のある映像作家の作品ということで、映像面ではかなりがんばっているという印象はありました。しかし、「一生懸命作った映像を全て見せたい」という思いが強いのか、画面の中で何を見せたいのかがよくわからないごちゃごちゃのカットが延々続き、非常に見にくかったのが一番強い印象でした。また、アクションシーンではかなり速い動きの連続が多かったんですが、ただ早いだけで決めになる動きが無く、結果的にはスピード感が弱められてしまっていたと思います。
また、画面の色調に関しては独特の退廃的な雰囲気を出していたと思うのですが、これに関しては数年前に公開された「アヴァロン」や今年公開された「イノセンス」と比較すると、かなりおおざっぱな味付けだったのが残念でした。また、戦場の場面などで荒れた映像の様な表現が多用されていましたが、そのためか諧調がべったりとつぶれてしまっていて、長時間見ているのはかなりつらいものでした。その他、あちこちで多用されているエフェクトも、斬新なものがなく、どこかで見たことがある様なものばかりだったのもかなり残念感がありました。
唯一、これはいいと思ったのはアンドロ軍団の更新です。何百体というロボットが一斉に行進するのは原作でも非常に印象的なシーンでしたが、より鮮烈なイメージで表現されていたと思います。意地悪な見方をすれば、「いかにもロボット」な動きというのは非常に作りやすいものなのではありますが、それは穿った見方と言うものでしょう。
以上、なんだか書けば書くほど悪口ばかりを並べているようでだんだん自分でも嫌になってしまいますが、これが「キャシャーン」という名前の作品でなかったら腹も立たなかったでしょうし、そもそも観に行くことも無かったでしょう。どうしてこの監督は「キャシャーン」を原作に選んだのでしょうか?鋼鉄のロボットを素手でたたいて砕くアクションや、アンドロ軍団の行進や、月光を背負って立つヒーローなど、映像的なディテールは、確かに原作を膨らませたものになっているのかもしれません。しかし、記号としてほんの申し訳程度に出てくるフレンダーなど、かなりおおざっぱな扱いに代表される様に、十分なリスペクトを払っているとはとても思えないのが非常に残念でした(し腹立たしくもありました)。
もう一度振り返って考えてみれば、この作品は監督自身が少年時代の影響を受けた映像作品のディテールを借りて、現実世界で泥沼化する戦争が展開されるこの時代において、「人は理解し、許し合うべきだ」というテーマを訴えた作品、と位置づけるのがいいのかもしれません。もし、この監督が監督ではなく美術設定などで参加する作品があれば、また見てみたいと思います。
ご無沙汰しております。
・・・そうですか。実はGWに、子連れで見に行くつもりだったんですけど、止めよう。
アニメの最終回、以前BBで見ましたが、実に「ヘタレ」な終わり方で(それまでの「暗さ」は何だったんだよ!)腹が立ちました。
その後「テッカマン」を見始めましたが、当時のタツノコプロが示す、「理想的な父子像」に、寒ぶいぼが立って途中で見るのを
止めました。
山田康夫が声を当てている「アンドロー梅田」は良かったけどね。
投稿情報: 酒乱 | 2004.04.29 20:21
私もアンドロー梅田めっさ好きでした。あのキャラだけのためにテッカマン観ていたといっても華厳の滝。
それはさておき「CASSHERN」、確かにアクションシーンは見づらくてどんな動きをしているのかわからなかったのが残念。「イノセント」で先にやられちゃった感がありますが全体的なデザインはいいなと思いました。
後半ちょっと意識がとんじゃったのでアレですが、長ゼリフを可能な限りカットして2時間にまとめてくれていたらよかったなあと…。
とはいえ観た後夢に出てきそうでそれなりに楽しめましたし、¥1,200損したとは思いませんでした。
ラストは“イデオン…?”
投稿情報: きろく | 2004.05.03 00:58
どうもです。「失敗作」はちょっと言い過ぎたかもしれません。確かに、もうちょっとコンパクトにまとまっていて、見せ場がはっきりとしていたらそれだけで面白くなった様な残念感はありますよね。またDVDが出たらレンタルでもう一度み返してみたいと思います。
投稿情報: kotobuki | 2004.05.03 22:57